ケンブリッジの卵

090404ケンブリッジの卵
「回る卵はなぜ立ち上がりジャンプするのか」
下村 裕

「ゆで卵をテーブルに置いて速く回すと、卵はやがて立ち上がる。」という現象を「理論的に証明する」とか「卵がジャンプすることを実証する」
までの、汗と涙の苦労の軌跡!?…
と思いきや、
共同で研究をされたモファット先生とのやりとりや、英国の庭の情景や、(有名な研究者があたりまえのように参加する)ティーパーティのようすなど、自然体の「日常」がとてもおもしろいです。

わくわくしながら引き込まれるせいか、(専門的なことはわからなくても読み飛ばしつつも)楽しめるものでした。
たくさんある魅力的な文章の中から一部引用。

モファット先生は几帳面に書かれた計算ノートを披露した。そしていきなり
「イタリアに向う電車の中で考えていたら、回転卵の運動を支配する方程式が解けた」
と言う。
驚きながらノートを読み進めてみると、その解は指数関数と三角関数で表される単純なものであった。それでも、確かに卵が立っていく様子が見事に記述されていた。

(中略)

「すごいですね。電車の中でこんな大きな発見をされたとは…まったく驚きました。」
と私が賞賛すると
「だからよく間違うのだ」
と彼は照れくさそうに微笑んだ。

(追記)
実は、本の中である誤植をみつけてしまいました。細かいことなのですが、気がついたところだけでも同じものが3箇所ほどあったので、出版元にその旨をメールしたら、
日曜日というのにもかかわらずメールを出して2時間後には
「次版では修正したい」という返事が届きました。
す、すごい。感激してしまいました。